大学プリンタ撤去の流れ
最近、いくつかの国立大学で学内のプリンタを撤去し、生協で有料印刷に切り替える大学が出てきています。弊社はプリント管理システムを主に大学市場に提供しておりますが、日本の大学ではこのようなツールの用途として大きく誤解、勘違いされている感があります。家計と同じで、要は学内全体で使用される紙、プリントアウトを以下に適切にコントロールして行くことが重要であり、プリント管理システムは学生の無駄遣いを排除するだけとか、学生を縛るためのツールではありません。海外の大学では、学生のプリント管理はほんの一部であり、大学全体として、紙の使用量を最適化し、学習における効果、費用対効果、また、学内全体の環境インパクトを図る、印刷予算の適切な管理を目的に導入されています。学生の印刷はごく一部の管理項目であり、あくまで全体最適解を得るための情報収集ツールと位置付けられています。
研究活動用プリントはある程度必用
大きな大学となると、研究活動を行う上で、膨大な量のプリントアウトを行います。これは電子化とペーパーレスとを混同し、勘違いしているケースが多々あります。知的創造活動を行うには、思考を深めるためには、視認性の良い媒体で全体を見ながら検討を重ねるという活動が必用になってきます。パソコンやタブレットのモニターを見ながらこの作業を行うのはかなり無理があります。特に法学部の学生などは数多くの判例を読みながら、並行して事案を検討、まとめていくという作業が発生します。そのために現在は多くの判例をプリントアウトします。理工系ではグラフ、表など多くのデータを必用とします。
全体最適プリントコストについて
大学でのプリンタ提供をやめてしまうと、生協などで高価な金額で有償印刷するため、印刷を躊躇するケースも出てくることが考えられます。たとえ1枚10円でも大量に印刷すると、かなりの金額になります。1000ページで1万円です。一般的に大学生が4年間に大学で印刷するページ数が7000枚とすると学生1人あたり7万円も消費しなければなりません。学生が10000人いれば、700,000,000円、7億円もの費用を学生が負担することになります。
生協で印刷する量を減らすため、自宅にプリンタを買うと、1台当たり20,000円とすると、前出の大学では学生全体で200,000,000円(2億円)の費用がかかります。また、この金額はインクなどの消耗品を含んでいません。消耗品を含めるとおそらく数億円の金額がかかると考えられます。BYOD化で個人PCの購入も必須化されるだけでも費用負担が大変なところ、PC以上の経費がかかってきます。
もちろん、これらの経費を受益者負担として学生に負担させれば良いという考えもあると思います。もちろん、それは否定しません。プリンタを運用する職員の工数を考えると、学生負担もある程度は許容されるかと思われます。
しかし、ここで重要な視点が抜けています。プリンタは安価な機種ほどインク代がかさみ、また、スピードも遅い、壊れやすいという問題があげられます。一方で大学で、堅牢なしっかりした高速プリンタを配備しておけば、生産性、耐久性、経済性のどれをとっても、しっかり運用に耐えられるシステムを提供することができます。我々が大学へのPaperCut MF の導入時にいつも疑問に思うのは、機械の値段を気にしても消耗品や運用経費を気にしていないということです。各メーカーが出している1ページあたりのコストと実際の家庭用機械の燃費には大きな隔たりがあります。レーザープリンタとインクジェットでも1ページと言っているその内容にも大きな差があります。
実際のプリントコスト構造
私は特定のプリンタメーカーに肩入れする気はありませんが、客観的に考察して、大学で入れるべきプリンタは実は限られています。故障やサポート体制などの条件を排除し、単純に燃費だけを考えると、理想科学工業のオルフィスシリーズ、京セラのLBP(コピー複合機は除外)、エプソンの高速マシン、これらが、1枚あたり、1~2円前後で印刷できます。生協の10円の数分の一にコストを抑えることができます。
複合機メーカーのクリックチャージ方式も、5年契約が必用など、あまり評判は良くありませんが、一考の価値があります。実際に印刷している枚数を元に交渉を行うことにより、上記のプリンタと比較しても遜色の無い単価で契約することも十分可能です。また、その単価にサービス保守費がついているというのも大きな利点です。トナー補充、消耗部品交換の手間もかかりません。今では各メーカー、リモート監視システムを繋げているので、トナーがなくなる前に補充してくれます。
まとめ
要するに、大学が膨大なプリント量を元に、メーカー、業者と交渉することにより、ボリュームメリットが最大限に発揮できるため、学生が個々でプリンタを購入し、消耗品代を支払ったり、生協やコンビニ課金プリンタで印刷するよりも全体として大幅なコストダウンを図ることができます。
学習活動に必用なプリントはルールの範囲内なら、どんどんしてもらう。使用した紙は植林システムを使って、同等分を植林してペーパーオフセットする。という循環型のサイクルを構築することを弊社では進めています。
プリント管理ツールを販売している側の理論と考えていただいても結構ですが、冷静に測定、分析、見積をとることにより、大学のシステムは必ず向上します。手集計で良いので、いちど、分析を行ってみていただいてはかがでしょうか。